(蛍舞う棚田と茅葺き集落)上赤谷、滝谷集落の景観
赤谷地区は上赤谷、滝谷、滝谷新田の三つの集落からなっている。赤谷の歴史は古く、縄文中期から人間の営みがあった。
上赤谷−旧国鉄赤谷線跡の細い道路を昇ると、右手は崖、左手は棚田が何枚も重なって視界が広がる。その先は小高い山々に囲まれた小さな盆地が開け、後ろは二王子・焼峰岳に続く。
「春」田は水に満ち、新緑と湖面と化した棚田の落日は弥生の風景を思わせる。「夏」漆黒の山々を背景に数千匹の源氏ホタルが舞い、自然が話しかけてくる様だ。「秋」黄金色の棚田と錦に染まった山々は豊穣の里に変わる。「冬」白一色に埋め尽くされた世界は、原始に戻る。上赤谷の景観は、自然と人が縄文の時代より共生してきた原風景として将来に繋げたい。 ?
滝谷−焼峰岳の登り口、一番奥の集落で、戊辰戦争の戦禍から免れた。茅葺き屋根が重なり、その間を結ぶ路地を歩く時、江戸時代に迷い込んだような時間を超えた不思議な空間が開けていた。近代化という破壊から守られてきた集落の豊かさは、新発田市民にとって歴史的証であり貴重な財産に思えてならない。その価値が今問われている。
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